平成20年度 地域活性化研究 一覧(高等教育機関五十音順)
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  1. 無線LANを用いた簡易型災害時無線通信システムに関する調査研究
    • 海上保安大学校 中平 俊朗(海上保安大学校情報通信科 4学年)外2名
    • 呉地域は山間地や島嶼部が多く,大地震等の自然災害に備えた通信手段の確保が必要であると考え,本研究チームは昨年度の地域活性化研究において,呉市に適した災害時無線通信システムに関する調査研究を行った。その結果,無線LANを用いたネットワークが費用,機能,実装などの観点から有力であることを示した。しかし,無線通信システムの電源確保や機器構成等の具体的なシステム実装方法,システム上での利用コンテンツ,他の通信ネットワークとの連携及びシステム自体の有効活用方法の模索などが未解決の研究課題として残った。本調査研究では,昨年度に提示した災害時無線通信システムについて様々な検討を行い,それを用いて呉地域全体で災害に備えた通信ネットワークの構築,運用について検討する。

  2. 牡蠣殻で作るカルシウムイオン水を用いた強化靭性モルタルの最適配合の研究
    • 近畿大学工学部 大廣 麻里(近畿大学大学院システム工学研究科システム工学専攻1学年)外1名
    • 広島県呉市は海に恵まれた土地柄である。そのため,広・呉湾では牡蠣の養殖が盛んに行われている。しかし,それからでる多くの牡蠣殻は廃棄処分となり有効利用されていないのが現状である。そこで私たちは,その牡蠣殻を焼成して得られる酸化カルシウムを用いてCaイオン水を作り,そのCaイオン水をモルタルに混入して得られる強化靭性モルタルの最適配合を求めることが研究目的である。

  3. 小学校における快適なデン開発研究
    • 呉工業高等専門学校 下倉 玲子(呉工業高等専門学校 助教)外5名
    • 近年,小学校においては,オープンスペースの普及と共に,デンやアルコーブと呼ばれる小さな空間がオープンスペースや教室内,廊下等に設けられることが多い。児童は,狭い空間を好むため,オープンスペースにより広い空間が連続する中にもデン等を設計し,落ち着く場所を提供しようとする建築家等の意図がある。しかし,実際は意図通りにデン等が利用されない場合が見受けられる。例えば,物品量に対し収納家具が少ないためデンに個人道具等が置かれる場合,教師の目の行き届かないため管理上デンを利用しないよう指導している場合等である。呉市の一部の小学校でも同様なことが起きている。そこで本研究では,呉市の小学校を対象に,様々なデンを実験的に設置し,児童の休息や学習活動に利用されるための要件をまとめ,児童の快適で安心な居場所づくりに貢献することを目的とする。

  4. 市民協働によるウォーキングのまちづくり 〜坂町を事例に
    • 呉大学 大藤 文夫(呉大学社会情報学部 教授)外4名
    • 本研究の目的は,市民協働によって坂町のウォーキングのまちづくりを発展させる方法を明らかにすることである。ウォーキングブームの中心は中高年齢者であるが,その手軽さ,健康志向の高まりによって,人気の高いスポーツになっている。行政からは高齢社会の健康づくり,経済団体からは経済効果の点で注目されているが,さらに地域ブランド(ウォーキングのまち)を確立することで,総合的なまちづくりへの発展も期待できる。多くの参加者を集める大会の成功は,住民に誇りをもたらし,仲間との交流や大会運営のボランティアを生み出す。そのような人材が市民協働によるまちづくりの担い手になる。坂町のウォーキングは実行委員会を作って取り組みを始めたばかりであるが,本研究では,住民の運営者・指導者としての参加,他のまちづくり分野との連携を生み出し,総合的なまちづくりとして発展させる方法を明らかにする。

  5. 高分解能衛星データを用いた斜面の安全性調査に関する研究
    • 広島工業大学 島 重章(広島工業大学工学部 教授)外4名
    • 呉市における近年の気象災害は広域に発生し,特に山地部斜面における地盤災害は各所に被害発生の傾向が見られる。発生する地盤災害は,風化した斜面の崩壊を引き起こし,地域住民の生命や財産を脅かしている。このような災害の発生に対応するためには,呉市斜面の広域地盤情報を整備し,現地踏査を行うことが考えられるが,現場の条件は複雑であり,発生の予測を行うに至っていないのが現状であろう。そこで,ここでは近年多方面の利用成果が挙げられている高分解能人工衛星データを用いて,呉市域の広域情報を把握し,災害発生に関係する情報の整備とそれらのデータに基づく災害発生の予測を検討するものである。昨年度は,その手法の実用性を確認できたことから,本年度は,斜面の危険度ランクを明らかにしたハザードマップの作成を行うものである。

  6. 蒲刈島周辺島嶼部の自然景観評価と環境資源の活用に関する研究
    • 広島工業大学 上嶋 英機(広島工業大学環境学部 教授)外4名
    • 呉市は瀬戸内海のほぼ中央に位置し,安芸灘海域の中に呉市は広域な海域と多くの島々を保有している。海域の環境資源は豊富で,瀬戸内海でも優れた豊穣な漁場精算の場となっている。平成17年3月に広域合併を果たし,倉橋島や上・下蒲刈島,豊島,大崎下島等の多くの島々と環境資源を管理下に置いた。これにより広域な海域と,瀬戸内海で一番長い300kmの海岸線を持つ市になった。そして安芸灘に位置する上・下蒲刈島と豊島,大崎下島までを繋ぐ安芸灘大橋はまもなく貫通する状態にある。そこで,安芸灘大橋によって繋がった島々の自然景観や環境資源の価値を評価し,将来的に管理すべき環境資源と,市民が活用していくための方策と今後の課題を抽出していくことが重要である。このことは,呉市の「地域資源を活かしたまちづくりの推進」の活動に大きな貢献が期待される。研究では特に,自然と文化の環境資源の豊富な蒲刈島周辺島嶼部を重点的に,自然景観評価と環境資源の活用に関する研究を行う。

  7. 「みずのまち」呉の創造に向けた調査・研究
    • 広島国際大学 砂本 文彦(広島国際大学工学部 准教授)外6名
    • 呉は,臨海部には,観光客や市民が集まる空間が整備されてきた。だが,こうした人々が市内中心部まで回遊していない。そこで海に注ぐ2本の川,二河川・堺川の空間利用上の課題と可能性を探り,水と人が触れ合うことのできるような整備計画を検討することで,呉市中心部にも人々が訪れる方策を提案する。課題抽出と方策の立案においては,次の点に重点を置く。@二河川・堺川に対する人々の認識を高める。A親水空間としての二河川・堺川のあり方を示す。B臨海部からのびる線的な要素としての河川を人々に親水空間として意識化させることで「みずのまち」としての呉市中心部のまちづくりのあり方を提案する。

  8. 呉地域産牡蠣のブランド力の向上に関する研究
    • 広島大学 羽倉 義雄(広島大学大学院生物圏科学研究科教授)外2名
    • 広島産の牡蠣は全国的に名高い牡蠣のブランドであるが,近年,宮城(松島),北海道(厚岸)などの牡蠣の知名度の上昇に伴い,相対的に地盤沈下している。北海道や東北などの寒冷地で養殖される牡蠣は,産卵回数が少ないことから,「大ぶりで,美味しい」などと極めて主観的な評価が一般的になされている。しかし,申請者が以前に行った研究では,美味しさの評価には,用途別の評価基準が必要であり,加熱調理(牡蠣の土手鍋)では,「うまみ成分の流出と濃縮が同時に起こること」や「サイズの変化に時間差があること」など,調理中に起こることが美味しさの評価に大きく影響を与えることを明らかにした。本研究では,県内産牡蠣の用途別の美味しさの評価を行うことにより,各産地の牡蠣の特徴付けを行い,それぞれの特徴に合った食べ方の推奨方の提案や,ブランド力の向上に必要なデータの収集を行う。

  9. インスタント・レトルト・缶詰食品などを中心にした子供向けの献立− 子供が好んで食べる非常食の献立を考える −
    • 広島文化短期大学 高木 直人(広島文化短期大学コミュニティ生活学科 准教授)外5名
    • 新型インフルエンザの発生に備えた改正法案が成立した。もし流行した場合,空気・飛沫感染するために外出が難しいとされている。そのために,それぞれの家庭で,その対策とし,2か月分の主食の米やめん類,レトルト食品,果物,魚,コンビーフなどの缶詰,飲料水,そして糖分の高いジャムや栄養補給食品などの備蓄の必要性が言われている。また,災害と違い,人々に免疫のない新型インフルエンザの場合は外出も無理な状況があるようにいわれている。もし外出が出来ない場合,子供たちにとっての楽しみの一つが食事になると考えられる。そこで,簡単に料理が出来て栄養を考えた,インスタント・レトルト・缶詰食品などを中心に利用した子供が好んで食べる非常食の献立を紹介する。
平成20年度地域活性化研究